エキサイティングなのに、ハリボテ感が否めない世界遺産…?
【day】62〜64日目
【route】ハバナ
ここまでは、キューバを取り巻く環境について綴ってきましたが・・・
キューバのお金のハナシ
キューバの宿とインターネット事情のハナシ
キューバの食料事情のハナシ
・・・今回は、世界遺産・ハバナの旧市街の様子について、お届けしたいと思います!
キューバの首都・ハバナを構成する歴史地区「オールド・ハバナ/La Habana Vieja」。1982年、「ハバナ旧市街とその要塞群」として、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
ハバナ湾に面したハバナが、スペインによって建設されたのは1519年。植民地貿易の中心地として栄え、さらに17世紀には造船の中心地となりました。
ハバナ港にはカリブの富が集中し、フランス軍やカリブの海賊たちなどの格好の標的となったため、スペイン人はこの街を要塞化。フエルサ要塞、プンタ要塞、モロ要塞、カバーニャ要塞…と、4つの要塞が今も港に残っています。
また、スペイン、そしてアメリカの後ろ盾で発展してきたオールド・ハバナでは、コロニアル、モダニズム、アールデコといった、さまざまな時代の様式が入り交じった建築群を見ることができます。
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・・・というわけで、オールド・ハバナの代表的な建築をご紹介。
アメリカの国会議事堂をモデルにしたという「旧国会議事堂/Capitolio Nacional」。
今でこそ「キューバが、なぜアメリカをモデルに!?」…と思うかもしれませんが、旧国会議事堂の建造は1929年。つまり、まだアメリカによる支配が続いていた頃に建てられたものなのだそうです。
キューバ・クラッシックバレエの本部「ガルシア・ロルカ劇場/Teatro Garcia Lorca」。
これまた意外かもしれませんが、世界でもトップレベルのバレエダンサーが存在するキューバ。ガルシア・ロルカ劇場は、国際バレエ・フェスティバルの会場にもなっているのだそうです。
「ビエハ広場/Plaza Vieja」を囲む、17世紀のコロニアル建築群。
ちなみにビエハ広場には、日本の援助で造られたという、プラネタリウムがありました! 日本とキューバの外交関係樹立80周年を記念したもの…ということですが、全く知らなかったのでビックリ。
キューバ風バロックスタイルの「カテドラル/Catedral」。
キューバで最も信者の多い宗教はカトリックなので、なるほど立派な教会があります。…が、近年では無信教者が人口の50%以上にまで達しているのだとか。アメリカ大陸において、この数字は驚異的!
しかしそれもそのはず、キューバ革命後から現在まで、宗教の信仰は原則として自由としながらも、教会の布教活動には政府による制約があるのだとか。
そうです、ここは社会主義国・キューバなのであります。
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・・・と、そんなオールド・ハバナの街並みを背に走り抜けるのは、40~50年代のクラシックカー。
これらは、アメリカの支配下にあった際に大量に流入してきたアメリカ車で、自家用車やタクシーとして、キューバでは今なお現役で活躍しています。
ハバナのレトロな雰囲気を演出するのはクラシックカーだけではありません。「アルマス広場/Plaza de Armas」に行くと、そこには露店が並んでいて・・・
・・・といったように、若かりし頃のフィデル・カストロやチェ・ゲバラのブロマイドから、これまた40~50年代のものと思われるカメラなどのアンティーク商品が、ずらりと並んでいます。
ちなみに、スペインの侵攻によって、16世紀には先住民のインディオが絶滅したキューバ。
街を歩けば出会うのは、ヨーロッパ系白人・アフリカ系黒人・ムラート(ヨーロッパ系とアフリカ系の混血)と、その歴史的背景から、いかに多様な人種で構成されている国なのかがよくわかります。
また、ごく少数ながらアジア系移民も存在していて(日系キューバ人の方もおられます)、なんとオールド・ハバナにはチャイナ・タウンが…!
世界中に存在する中華街だけど、まさかキューバにまであるとはさすがに思わなかった、、、
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そんな、歩いているだけで色々と考えさせられるオールド・ハバナですが、いわゆる観光スポットも盛りだくさんです。
代表的なのが、「革命博物館/Museo de la Revolucion」。
キューバ革命に関する資料が展示されている博物館で、なんとあの、チェ・ゲバラをはじめとする革命軍が、メキシコからキューバに密航する際に乗船したボート、グランマ号も収められています。
キューバ革命当時、フィデル・カストロが着ていた軍服なども展示されていて、歴史好きにとっては鳥肌ものです。
ちなみに、アメリカ合衆国・元大統領のレーガンやブッシュなどを堂々と批難する…というよりもコケにする展示は、かなり刺激的でした。特に、ブッシュ元大統領をナチスと揶揄する表現はギリギリ…苦笑
私たちがここに訪れたのは、1週間後にはオバマ大統領がキューバにやって来る!…という時期だったのですが、この展示の行方が気になるところです、、、
さらに、キューバの歴史を語る上で忘れてはならないのが、小説家 アーネスト・ヘミングウェイ。
ヘミングウェイはアメリカ人でありながら、22年ものを歳月をキューバで過ごし、『誰がために鐘は鳴る』、『老人と海』など、ほとんどの作品はキューバで書き上げました。
そのためハバナには、ヘミングウェイゆかりの地が点在しています。
その一つが「ホテル・アンボス・ムンドス/Hotel Ambos Mundos」。
ヘミングウェイが常宿にしていたホテルで、彼がいつも泊まっていた511号室は博物館になっています。ちなみに、宿泊客ではなくても見学可能。
ヘミングウェイが使用していたタイプライターなどが、丸はだかで展示されている豪快さには、こっちがドキドキなのでした(笑
ヘミングウェイの行きつけだったのが、こちらの「レストラン・バー・フロリディータ/RESTAURANTE BAR Froridita」。
店内に入ると、ヘミングウエイの定席だったカウンター端に、彼の像が置かれていました。
そんなヘミングウェイがこよなく愛したのが、ラム酒。そして、キューバのラム酒を世界的に知らしめたのが、言わずと知れたハバナ・クラブ。
オールド・ハバナには、そのハバナ・クラブの博物館「ラム酒ハバナ・クラブ博物館/Museo del Ron Havana Club」があって、ラム酒の歴史と製造過程を知ることができます。
バーも併設されていて、ラム・カクテルを注文できます。お酒が苦手な二人だけど、せっかくなのでトライしたのですが……すみません、私たちには、この美味しさがよくわかりません(苦笑
さらに、バーにはステージもあって、本場のサルサも聴けちゃったりして・・・
オールド・ハバナって、なんてエキサイティングな街なんでしょう!!
・・・と、素直に言いたいところですが、ここまで紹介したのは、あくまでも高級ホテルや高級レストランが立ち並ぶ、中心部でのお話。
前回の「旅の日記」でも触れたとおり、私たちが宿泊していたのはオールド・ハバナの外れ。
…こんなカンジの、どこか荒廃感の漂うエリアです。いや、むしろ、オールド・ハバナの大半がこんな雰囲気。上で紹介したような、美しく整然とした街並みやスポットなど、ごくごく一部でしかありません。
キューバとは友好関係にある北朝鮮の首都・平壌は、外向けに作り込まれた“演出の街”なのだ、という話しを耳にしたことがある。さすがにそこまでとは言わないけれど、やっぱりどこかハリボテ感も否めない、オールド・ハバナ。
観光収入は今や、キューバ経済の大きなウェイトを占めるまでに成長したといわれますが、はてさて、キューバのツーリズムは、単なる外貨獲得ための手段で終わるのか、それとも、文化まで昇華していくのか?
そういった意味でもやはり興味深い、社会主義国・キューバなのでありました。
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*世界一周の旅を経て、
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