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「エルサレムは、世界の縮図」…は、本当のような気がしてなりません

【day】126〜127日目・130日目
【route】エルサレム


前回の「旅の日記」に綴ったとおり、イスラエルに到着した私たち。

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そして、国際空港のあるテルアビブから、エルサレムへとやって来ました。

旅のルートとしては、私たちが辿ってきたように、イスラエルに入国→エルサレムへアクセス……というカタチが基本になりますが、単純に「イスラエルのエルサレムにやって来た」と表現するのには語弊があります。

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ご存知のとおり、エルサレムはユダヤ教・イスラム教・キリスト教世界三大一神教の共通の聖地であり、なお且つ、パレスチナ自治政府もその領有を主張しているという、非常に特殊で、特別な地域。

イスラエルはその領有権はもちろんのこと、首都はエルサレムであると宣言していますが、前述の事情も鑑みて、国際連合をはじめとして多くの国家が、これを認めていません。

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そのため国際社会側の観点に立てば、エルサレムにやって来たということは即ち、イスラエルにやって来たということであると同時に、パレスチナにやって来たということにもなります。

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ひと口にエルサレムと言っても、その複雑な問題の火種となっているのは、この黒い線に囲まれたわずか1㎢ほどの区画。

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「黒い線」がなんなのかというと、ご覧のとおりの「城壁」で、これは16世紀前半にオスマントルコ帝国によって建設されたものとされています。

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そしてこの城壁内はエルサレム旧市街とよばれ、こここそがユダヤ教徒・ムスリム・キリスト教徒、三教合わせて約35億人にものぼる信者にとっての「聖地」であります。

1981年には「エルサレムの旧市街とその城壁群」として、ユネスコの世界文化遺産に登録されましたが、帰属問題を孕んでいることなどを踏まえ、なんと「ヨルダンからの申請」とされた極めて珍しい案件。

ちなみに、周辺情勢の不安定さなどから登録の翌年には危機遺産に加えられ、最も長い期間、危機遺産リスト入りし続けている世界遺産としても知られています。

果たして、危機遺産から外される日はやって来るのか・・・


・・・という前提を踏まえつつ今回は、エルサレム旧市街の様子をお伝えしたいと思います!

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まずは、旧市街の北西の城壁に位置する「ダマスカス門」をくぐって、いざエルサレム旧市街へ。

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聖地というからには、どれだけ厳かな雰囲気なのかと思ったら……意外や意外、車がビュンビュンと走り抜けていきます!

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そして街中でよく目に付いたのが、これでもか!というほどあちこちに掲げられた、イスラエルの国旗。実際のトコロはわからないけど、おそらく、イスラエルによる実効支配活動の一環なのではないかと思われます。

さらに露店では、こんなメッセージが書かれたT−シャツを発見!

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「アメリカよ、心配するな。イスラエルが後ろにいるぜ。」

シャレにしては、あまりにも過激すぎるこんなアイテムまであるなんて、、、

 

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そしてさらに驚いたのはコチラ……「ピカチュウ」ならぬ「ピカジュウ」のT−シャツ!

「ユダヤ人」は、英語で「Jew/ジュウ」。つまり、ピカチュウの「チュウ」と「ジュウ」をもじっているわけなんです。

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ユダヤ教徒の男性の伝統的なスタイルといえば、黒い帽子とスーツ、そして一生伸ばし続けるというヒゲとモミアゲ。

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それをこのように、ピカチュウ化させてしまうなんて……もちろんポケモンの版権もスルーしてるんだろうなぁ、、、

そしてさらに捻れているのは、このT−シャツを販売している多くがアラブ人であるということ!

てっきり、ここはユダヤ人の土地だぜ!…と主張する中での遊び心かと思っていたけど、これは果たして、アラブ人によるユダヤ人茶化しなのか、それとも、ただ単に観光客に売れればそれでOKという商魂の逞しさなのか……?

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・・・いずれにせよそこには、「聖地」然とした厳かな雰囲気はなく、ただ一方で、武装した警官が非常に多く、常時厳戒態勢という緊張感は伝わってきて、インドなどとはまた違った種類の「混沌」が、そこにあるのでした。

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さて、そんなエルサレム旧市街ですが、非常に興味深いのが、ユダヤ教徒地区・ムスリム地区・キリスト教徒地区・アルメニア人地区と、1㎢に満たない区画の中が、4つに大別されているということ。

それぞれの地区を巡ってきたので、その様子を順番に紹介したいと思います!

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まずはこちら、ムスリム地区から。

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商店がひしめき合っていて、活気に溢れるムスリム地区。イスラム教圏である、北アフリカや他の中東諸国の旧市街と、よく似た光景が広がっていました。

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大体どこのお店を覗いても、コーラン(クルアーン)がびっしりと並んでいるのは、さすがエルサレム!

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お次はこちら、キリスト教徒地区

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意外なことに、ぱっと見はムスリム地区とほとんど同じ様子。キリスト教徒地区に入ったということすら気付かないくらい、ムスリム地区の延長線上にあるといった印象を受けました。

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ただ、偶像崇拝が禁止されているイスラム教とは違って、商店はやはり、イエス様とマリア様の顔で埋め尽くされています。

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そして最も異彩を放っていたのがこちら、ユダヤ教徒地区

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ムスリム地区のような商店も活気もなく、静かで整然とした街並み。

なによりも印象的だったのが、フレンドリーなアラブ人とは違って、特にユダヤ教の伝統的な衣装を身に纏ったユダヤ人は、一切こちらに話しかけて来ないどころか、目を合わすことすらなかったということ。

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ユダヤ教徒以外は空気のような存在といわんばかりに、全くもって部外者を相手にしていない様子です。実際、ユダヤ人の方と会話を交わしたのは買物をしたときくらい。

決して悪い意味ではなく、かなり排他的な地区なのだということを強烈に感じました。

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そして最後はこちら、アルメニア人地区

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東ローマ帝国によってアルメニア王国が滅ぼされた12世紀以降、ユダヤ人と同様に、世界中に離散しながらも、その商才により独自のネットワークを構築し、世界各地で活躍したのがアルメニア人です。

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世界で初めてキリスト教を国家宗教にしたことで知られるアルメニアですが、カトリックなどの宗派とは一線を画す「アルメニア教会」を信仰。

そのためここエルサレムでも、キリスト教徒地区とは異なる、アルメニア人独自の地区が守られてきたのだとか。

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「エルサレムは、世界の縮図」…と、よくいわれるけど、実際に歩いてみて、その意味が少しだけわかったような気がします。

その広さとは反比例する、大きな意味を持ってしまった土地の中で、決して相容れることのないであろうコミュニティ同士が、時に明確で、時に曖昧な線引きを、押し合い圧し合いしながら、どうにかそれぞれの生き方を保っている。

「多様性を認める社会を!」…という声をよく聞くけど、耳当たりの良さに釣られて、大した覚悟もなくその言葉に乗った日には、それはそれはひどいしっぺ返しに合うんだろうな……と、エルサレムの現実を目の当たりにすると、痛切に感じます。

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・・・というわけで、それぞれの地区の様子がわかったところで、次回の「旅の日記」では、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教、それぞれの聖地とされる由縁に迫っていきたいと思います!

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\世界一周を終え、カフェをopen/



5 thoughts on “[世界遺産]エルサレム旧市街… ユダヤ教徒・ムスリム・キリスト教徒・アルメニア人の、4つの地区を巡ってみた

  1. こんにちは。
    写真の使用許可について、ありがとうございました。
    もちろん、クレジットはつけさせてもらいます。
    エルサレムは「平和の都」という意味だそうですけど、平和にはほど遠いですね。

    • とんでもないです!今後ともよろしくお願いします。

      「平和の都」、壮大な皮肉みたいになってしまっていますね、、、
      本当に、色々と勉強させてもらった街でした。

  2. 初めまして。

    今、自分は浜松に住んでいます。
    浜松ではイスラーム教徒が学校給食でハラール食を求めていますが、とんでもない税金がかかるのでそれはどうかなあ?という人が多くいます。
    イスラム教徒の気持ちはわかりますけど、現実的には難しいですね。
    こんな地方都市でも多様化が進んでいます。

    そんなことを自分のブログで記事にしたことがあります。
    そこでお願いがあるのですが、このブログの写真を自分のブログで使わせてもらっていいでしょうか?
    もちろん、こちらのリンクはつけさせてもらいます。

    • ここんとうざいさん

      読んで頂きありがとうございます!

      精神的な相互理解は間違いなく必要と考えていますが、いざ実生活に落とし込むとなると、それはまた別の問題として考えなければいけない課題ですよね、、、


      写真については使用して頂いてかまいませんが、クレジット(旅するパティシエ, 旅する本屋)+URLの表記をお願いできればと思います。URLはもちろん、クレジットに対してハイパーリンク設定として頂いてもけっこうです。

      お手数ですが、よろしくお願いできればと思います!

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