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鳥人は神の化身…“絶海の孤島”ならではの儀式が、そこにはあった!


前回の「旅の日記」では、モアイ祭りを開催しました。

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…が、イースター島で注目すべきは、モアイだけではありません。モアイ文明以後の史跡、景勝地、グルメなどなど、なかなか興味深いこの島の文化にもふれることができました。
 

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なかでも特筆すべきは、18世紀に行われた「鳥人儀礼」

前回の「旅の日記」では、大まかなモアイの歴史についてふれましたが、「モアイ倒し戦争」以降のこの島の文化としては、欠かすことのできない象徴的な事柄です。

「鳥人儀礼」とは、イースター島の神聖な王を選ぶために、1年ごとに開催されていた行事

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そして、その鳥人儀礼の舞台となったのが、「オロンゴ儀式村/Orongo」

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「ラノ・カウ/Rano Kau」という、島の水源にもなっている火山湖のすぐ隣にあった村で、イースター島の中でも聖域とされていた場所です。
 

さて、ここで行われた「鳥人儀礼」がどのようなものだったかというと・・・

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オロンゴ儀式村の岬のすぐ近くには3つの島、手前から「モトゥ・カオ・カオ/MOTU KAO KAO」「モトゥ・イティ/MOTU ITI」「モトゥ・ヌイ/MOTU NUI」があります。

これらの島は、イースター島で天地創造の神様とされている「マケマケ神」が、マヌ・タラ(グンカン鳥)と呼ばれる渡り鳥に与えたもので、それ以来マヌ・タラは、春になるとそこで卵を産むようになった…という伝説が残っています。

そこに、各部族の首長たちがそれぞれ自分の部下を1名指名して、よーい、どん!で、マヌ・タラの卵を取りに行かせる。

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その卵を一番早く持ち帰った部族の首長は、マケマケ神の化身である「タンガタ・マヌ」となることができる(卵を持ち帰った本人ではないのが切ない…)。

「タンガタ・マヌ」の意味はつまり“鳥人”で、鳥人になるとマナ(霊力)を持つと信じられていました。そして「鳥人」は、人々の崇拝の対象となり、イースター島における宗教的・政治的な実権を1年間にわたって握ることができる。

・・・というわけですが、つまり簡単にいえば、「卵取り競争で、この島の王様を決めようぜ!」…というようなものですね。

そんなんでキングを決めていいんですか…とおもわず心配になってしまいますが、イースター島では、自由に海を越えて飛ぶ鳥こそ、神の力を宿すものだと強く信じられていたわけで、“絶海の孤島”で暮らす人々にとっては説得力のある儀式だったのでしょうね。


そしてさらに驚くべきは、「鳥人」となった首長がなんと、歌い踊りながら“食人”、つまり人間を食べていた、という事実。

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その舞台となったのが、オロンゴ儀式村の近くにある「アナ・カイ・タンガタ/Ana Kai Tangata」

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「アナ」=洞窟、「カイ」=食べる、「タンガタ」=人…の意味なので、つまり「食人洞窟」ということです…。

では、誰が食べられちゃうの!?…という話ですが、なんと前述の「卵取り競争」の敗者の内、選ばれた何名かが生贄となっていたそうなのです。

そのため、“食人”されることを恐れて、前述の沖合の島からイースター島には戻らず、餓死した者もいたのだとか…。


ではなぜ“食人”していたのかというと、鳥人となった者が「相手のマナ(霊力)を自分の体内に取り込む」という儀式として、必要なことだったのだそうです。

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食人、つまりカニバリズムといえば、イースター島だけでなく、古くはアステカ帝国によるものをはじめ、世界各地で確認されています。

人間を食べるなんて信じられない!…という人がほとんどだと思いますが、当時の彼らにとってはあくまで“正しい行い”だったわけで、善悪二元論がどれだけ脆いロジックか、こういう場に来るとしみじみと感じられます。
 

さて、この1世紀以上も続いた「鳥人儀礼」ですが、1866年についに廃止されることとなりました。

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その理由は今もわかっていないそうですが、背景に島社会への西洋人の介入、島民のキリスト教への改宗が進められいたことを踏まえれば、信じられていたはずの霊力で太刀打ちできず、カリスマ性を失った悲しき鳥人の姿がそこにあったのでは…と想像する私たちなのでした。
 

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・・・と、長くなってしまいましたが、歴史を離れて、現代のイースター島の様子もお届け。

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イースター島の周囲は約58㎞。車であれば一日で島をぐるりと周ることができてしまいます。私たちはレンタカーで島を一周してきましたが、道すがらにはどんな景色が広がっているかというと・・・

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・・・というように、水平線はもちろんのこと、基本的には山と草原の風景が続いています。ちょっと強引だけど、印象としては、日本最西端の島・与那国島のそれと似ているような?

時折みられる動物はというと…

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牛。

島中にたくさんいますが、なんと島民の家畜というわけではないそうです。元々は西洋人が島内に持ち込んだ動物らしいけど、せっかくのホルスタインにも関わらず、島民はなんと乳の絞り方も知らず、ただただ放置なのだとか…。

そして、牛並みによく見かける動物はというと…

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馬。

牛とは違っておしりに焼印があって、所有者がはっきりしているようですが、これぞ本当の放牧といわんばかりに、柵もなにもない状態で飼育されています。今でも自転車代わりに、馬を使う島民も多いのだとか。

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そんなのどかな風景が続くイースター島ですが、とはいえ人口5,500人強の島。島の大半の人々が暮らす「ハンガ・ロア村/Hanga Roa」という、もはや村じゃないだろとツッコミたくなる立派な街が形成されています。

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中心部なんかは車がビュンビュンと走っていて、“絶海の孤島”がこれなら、もはや世界に秘境なんてないんだろうな…と思わされるほど。

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ちなみに街の飲食店は、旅行者向けの高級レストランが多く、バックパッカーにとってはなかなかツラいかも。

とはいえ、せっかく来たからには「マグロ」は頂かねばと、入店してしまいました。

イースター島ではマグロがよく獲れるとのことで、漁師から直接買って、さばき、刺身にして食べる日本人の旅行者もいるとかいないとか。

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実際にレストランでマグロをトライしてみると…確かにおいしい!

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…けど正直、日本のマグロの方がおいしいかな(苦笑
 

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・・・というわけで、イースター島の見学を終えた私たち。

念願叶ってモアイに会うこともできた、充実の3日間の滞在だったけど、できることなら5日間は時間を取っておくべきだったかな…と、やや後悔。

そんな、モアイだけではとても語り尽くすことのできない、“絶海の孤島”への旅なのでした。

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