キューバでは「困っている旅行者を助けたい」…にご用心
【day】61〜62日目
【route】ハバナ
以前の「旅の日記」に綴ったとおり、キューバの首都・ハバナにやって来た私たち。
私たちがキューバに到着したのは、オバマ大統領のキューバ訪問前。
そのため、インターネット上でのキューバの宿泊情報はまだ非常に少なかったのですが(詳しくは→キューバの宿とインターネット事情のハナシ)、唯一、事前に探し出すことができた評判の良いカサ(民泊)の住所を頼りに、空港からタクシーで乗り付けたのでした。
無事、目的地のカサに到着したものの、いくら呼び鈴を鳴らしても一向に返事がない…う〜ん、これは困った、、、
街中には他にもたくさんのカサがあるといっても、どこが信用できるかわからないし…なんといっても「民泊」なので、迂闊に飛び込んでいくのはやや不安なのです。
さらに、これまで旅してきた南米諸国は、どんなに田舎に行っても簡単な英語でのコミュニケーションは、まぁなんとかなるというレベルだったのだけど、ここキューバでは英語を話せる人が極端に少ないように思います。
う〜ん、この完全アウェイの中を、重い荷物を背負ったままヘタに動き回るのは、得策ではないよなぁ・・・
・・・と、困り果てていたところに、「なにか困ってるの?」と、通りすがりの英語ペラペラなおじさんが登場!「おおーーー!英語話せるんですかー!?」……と、それだけで安堵する私たち。
事情を話すと、呼び鈴を鳴らしても反応のないカサが本当に留守かどうかを一緒に調べてくれたり、重い荷物を背負った妻を気にかけてくれたりと、ものすごく親切なジェントルマン。
もちろんそう簡単に警戒を解くことはしなかったけど、なによりもキューバにあってこんなにも流暢に英語を話せるということは、お金に困っているような方ではないのだろう…と、ある程度身を任せることにしたのでした。
すると、「すぐ近くで僕の友だちがカサをやってるから、そこを紹介するよ」…と、ジェントルマン。
もしやこれは、東南アジアなどでよくある、旅行者を紹介して宿側からインセンティブをもらう例の手口か?…と、疑心暗鬼になったのだけど、まぁ気に入らなかったらすぐに出てくればよいだろうということで、連れて行ってもらうことに。
実際に訪ねてみると、なかなか雰囲気の良いカサ。ご主人は例のごとく英語はできないのだけど、なにかと親切だし、バルセロナのユニフォームを着てるだけあって顔はメッシに似てるし、うん、良いんじゃないかな。
ちなみに部屋はこんなカンジで、一泊一室30CUC ≒¥3,390。
・・・というわけで、無事にチェックインも済ませて、次は両替をしなければ…と動き出そうとしたところ、なんとカサを紹介してくれたジェントルマンが、僕が案内してあげるよ、と近くのCADECA(両替所)まで一緒に付いてきてくれることに。
旅行者にとっては、ハバナでCADECAを発見するまでにひと苦労だったりするので、これはとっ〜ても助かりました!
「キューバでは英語を話せる人が少ないからね、困っている旅行者がいると助けたくなるんだ」…と、ジェントルマン。さらには、なにか困ったらいつでもかけておいで、と電話番号を書いたメモまで渡してくれました。
ジェントルマンよ、あなたはリアル・ジェントルマンだったのですね…。少しでも疑ってしまって申し訳なかった…!!
・・・というわけで諸々済ませ、ようやく落ち着くことができました! いやはや、色々とお世話さまでした〜ということで、リアル・ジェントルマン(左)と、メッシ似のご主人(右)と記念撮影。
いやぁ、ハートフルな出会いもあって、なかなか好発進のキューバの旅ですね〜。
・・・と、のほほんとしていたら、リアル・ジェントルマンが一言…
「さて、僕になにかプレゼントはないのかい?」
・・・??
えっと、プレゼントってなんのこと…?
「いや、だからさ、色々君たちに尽くしてあげたじゃないか〜」
・・・??
それって…お金のこと?
「ま、ま、ま、ほんの気持ちでいいからさっ!」
・・・??
いや、でもそんな話し聞いてないし…
「ウチの小さな娘に、お菓子のひとつでも買っていきたんだよ」
・・・??
「頼むよ〜〜〜ね?ね?ね?」
・・・このおっさん、エセ・ジェントルマンだった…!!!
そういえば思い出した…キューバは“中南米のインド”と呼ばれるほどお金にがめつく、いわゆる“ウザい”連中が多いから要注意!…という話をどこかで聞いたことがある、、、
入国前に色々と調べて臨んだつもりではあったけど・・・
キューバのお金のハナシ 〜2つの通貨が存在する国?〜
キューバの宿とインターネット事情のハナシ
・・・肝心なコトをすっかり忘れていたな〜…。
まぁでも、インドとは決定的に違うのが、本当にこちらが望むことを手助けしてから、お金を請求してくるという点。
その後も、他のキューバ人からチップをねだられるシーンは何度かあったけど、道案内するなり何なり、皆やることはやってからふっかけてくるという、妙な律儀さがある。
一方インドの旅では、軟禁状態にして宝石を買わせようとしたり、勝手に腕を掴んでマッサージを始めて、金払え!と言い出したり、とにかくこちらの意志はおかまいナシの輩が多かったからなぁ…。
実際、エセ・ジェントルマンにしてもらったことは助かることばかりだったし、なによりもキューバに着いて早々トラブルになることだけは避けたい……というわけで、手切れ金という意味も込めてチップを渡すことに。
しかし、これが裏目に出て、エセ・ジェントルマンがさらに調子に乗ることになろうとは・・・
「葉巻工場があるから、僕が案内してあげるよ」
・・・いや、けっこうです。
「そんなこと言わずにさ〜。じゃあ、明日一緒に行こうか?」
・・・いや、けっこうです。
「じゃあ、その内またここに来るからさ、そのときは一緒に行こうよ?」
・・・いや、けっこうです。
「行こうよ〜〜〜ね?ね?ね?」
・・・あぁ、“中南米のインド”……到着初日から、手厳しい洗礼をありがとう。2日目以降は、もう絶対に、安易に他人に甘えたりは致しません。
そう胸に誓った私たちは、エセ・ジェントルマンとの再会を避けるために、一泊だけして翌日、泣く泣く違うカサへと逃亡したのでありました。メッシ似のご主人はなにも悪くないよ、ごめんね。
・・・というわけで、今度こそ本当に落ち着いたのが、こちらの「ビジャ 1936/Villa 1936」(一泊一室20CUC ≒¥2,260)。
清潔さはそこそこだけど、なによりもオーナーファミリーが皆気さくで、でもほど良い距離感もあって、要はリアル・ジェントルで(笑)、素直におすすめできるカサです。
本格始動までに丸一日を費やした、キューバの旅。先行きが不安すぎますが、気を取り直して、ハバナの街へ飛び込んできま〜す!
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*世界一周の旅を経て、
お菓子ブランドをスタート!
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