フランスで飛び込み取材! 今回の郷土菓子は「ヴィジタンディーヌ」♪
【day】98日目・101日目
【route】ストラスブール
フランスとドイツのエッセンスが融合した、アルザス独自のお菓子文化については、これまでも紹介してきましたが・・・
*世界の郷土菓子* フランスの「Streusel/シュトロイゼル」
・・・あくまでも、目指すのは「現地で、現地の人々と、一緒に郷土菓子を作る」こと。
しかし、郷土菓子についてなんとか質問を受けてもらうのが精一杯で、とてもじゃないけど「一緒に作らせてほしい!」…なんて言える雰囲気は、どこのパティスリーにもありません、、、
でも、それもそのはず、ここは世界のスイーツカルチャーをリードする、お菓子大国・フランス。
加えて、質の高い乳製品やフルーツを生産するアルザス地方では、必然的にお菓子文化が発展し、その中で勝ち残ってきた真の実力派パティスリーだけが、ここストラスブールで店を構えているのです。
その証拠に、現在日本で活躍するパティシエの中には、アルザス地方での修業経験を持つ方も少なくありません。
でも、せっかくここまで来たのに、何もする前から臆してなるものかと、勇気を出して5~6軒ほどアポイントに挑んだ私たち。
しかし案の定、その結果はどこも、箸にも棒にもかからないといった状況、、、
ヨーロッパ入りしてから、苦労しながらもポルトガル、スペインと立て続けに、現地で郷土菓子を作らせてもらえたこと自体が奇跡的だったけど、さすがにフランスでは難しいかな…と、自分たちでもある程度、納得感のある敗走を認めつつありました。
しかし最後に、ダメで元々と、ストラスブールの中でも指折りの老舗パティスリーにアタックしてみることに・・・
・・・それがこちらのパティスリー「クリスチャン/Christian」。
高級感の漂う店内の雰囲気に飲まれそうになりながらも、これが最後だと腹を括って、スタッフの方にお願いをしてみると・・・
「一緒に郷土菓子を作りたい? ……う~ん、シェフがOKすれば大丈夫だと思うけど…。」
・・・おおっ!これは予想外の返答!
ぜひシェフに打診して頂けないでしょうか?…と、ここまできたら遠慮なくプッシュすると・・・
「わかった、ちょっと待っててね。」
・・・と、快く対応してくれるスタッフさん。う~ん、これまではこの段階でバッサリ切られてきたけど、これはひょっとして…?
期待に胸を膨らませながら、待つこと10分・・・
「よかったわね、シェフはOKだって! どうぞ、厨房まで案内するわ。」
・・・おぉぉぉぉぉ!?
これまでの失敗がウソのように、こんなにもサラリと了解を頂けるなんて! しかもここは、ストラスブールの中でも最も有名なパティスリーの一つだというのだから、まるで夢を見ているかのよう…。
バックヤードにつながる扉を開け・・・
通常は関係者以外立ち入ることのできない通路を行くと、自ずとドキドキ感が高まっていきます…。
・・・そして私たちを待ち構えていたのが、こちらのシェフ、マイヤー・クリストファーさん!
普通に考えたら、こんなどこの馬の骨かもわからない旅人が、おいそれと口をきけるような方ではないので、いやはやなんとも恐れ多いことで、、、
・・・しかし!
残念ながら、スタッフの方からの伝達が、正確には伝わっていなかったようで・・・
「一緒に郷土菓子を作る? 話しを聞きたいだけじゃないの? う~ん、それはちょっと難しいかなぁ…。」
・・・と、顔をしかめるシェフ。
が~ん……せっかくここまで漕ぎ着けたというのに、まさかまさかの結果が、、、
そうだよね、こんなに有名なパティスリーが、厨房に入れてくれるだけでも奇跡だっていうのに、まさか一緒に作らせてくれるはずがないよね。
しょんぼりしつつも、当然納得感もあり、大人しく引き返すことにした私たち。
・・・すると!
「ちょっと待った!3日後だったら一緒に作れるけど、まだストラスブールにはいるかい?」
・・・おぉぉぉぉぉぉ! このチャンスは意地でも掴まなければ!
こういった急な事態にもフレキシブルに対応できることが、なが~い世界一周の旅の良いところです。
3日後、必ずここに戻ってくるので、どうぞよろしくお願いします!…と、深々と頭を下げて、厨房を後にした私たち。
・・・そして、3日後。
期待と不安を胸に、約束の時間の10分前に、再度「クリスチャン」を訪ねた私たち。今回は自信をもって「シェフに郷土菓子作りを教えてもらい来ました!」…と、まずはスタッフの方に声をかけます。
・・・しかしなんと、シェフは都合がつかないようで、また1時間後に来てほしいとの回答が…!
う~ん……これはとっても嫌な予感。これまでの失敗経験からすると、こうやって何度も後ろ倒しになる場合は結局「やっぱりダメ!」…というパターンが非常に多かったので、、、
やや重い空気を背負って、パティスリーからは少し離れたところで待機する私たち。不安を募らせ気もそぞろな妻・あやは、帽子がだいぶズレていることにすら、もはや気付いておりません…苦笑
・・・そして、1時間後。
祈るような気持ちで、もう一度「クリスチャン」の扉を開けた私たち。
すると、先ほどスタッフさんが・・・
「お待たせしてごめんね~! さぁ、厨房にどうぞ。シェフが待ってるから!」
・・・やった!!!
先ほどの重い空気はどこへやら……目の前の霧が、一気に晴れた気分!
意気揚々と、3日前も通ったバックヤードを行く私たち。そしてそこで待ち受けていたのは、笑顔のシェフの姿!
驚くべきは、作るものからその下準備まで、シェフがばっちり用意を整えていてくれていたということ。挨拶もそこそこに早速、郷土菓子作りがスタートしました!
今回シェフが教えてくれたのは、この店の名物のひとつ「Visitandine/ヴィジタンディーヌ」。アーモンドとバターの風味豊かな、アルザス地方の焼き菓子です。
例のごとく、一緒に作らせてもらった様子を、チラ見せ!
こんな見ず知らずの旅人のために、一流シェフがこんなにも真剣に向き合ってくれるなんて……もう、それだけ思わずウルっときてしまった私たち。
この取材の詳細は近日中に、夫・ひでつぐが誌面(SWEETS TRAVEL BOOK)にまとめますので、どうぞお楽しみに♪
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*世界一周の旅を経て、
お菓子ブランドをスタート!
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一緒にお菓子を作ることが出来て本当におめでとう!!文ちゃんの熱意の賜物です。
ありがとうございます!本当に夢のような時間でした〜♪