ヨーロッパ最古の大学は、ハコじゃなくてマチでした
【day】85〜86日目
【route】コインブラ
コインブラを起点に、テントゥガルやアヴェイロを訪ねた、郷土菓子を巡る旅もひと段落。今回はちょっとひと休みして、コインブラの世界遺産を見学することにしました!
目指すは、あの丘の頂上。あそこに、コインブラの世界遺産があるというのです。
下から見る以上に急な坂道を、えっちらおっちらと上っていきます…。丘の上に住んでいる人たちは、ほぼ毎日ここを上り下りしてると思うと、それだけで尊敬してしまうわけで、、、
上ること約20分……丘の上にはナイスビューが広がっています♪ さすがポルトガル、手前のモンデゴ川を挟んで対岸にも、かなり大きな修道院が立ってますね〜。
そしてたどり着いたのが、「コインブラ大学/Universidade de Coimbra」!! そう、コインブラにある世界遺産は、なんと大学なのであります!
ヨーロッパ最古の大学のひとつとされ、700年以上の歴史をもつコインブラ大学。この大学を中心に据えながら、その機能が街の建築にも反映され、大学と都市とが共生するコインブラは、まさに「大学都市」の典型例。
……という点が評価を得て、大学周辺のアルタ地区とソフィア地区も含め、「コインブラ大学-アルタとソフィア-」として、2013年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
さて、16~17世紀に造られた建物が現存するという歴史ある大学は、一体どんなトコロなのだろう?……と、期待に胸を膨らませて進んでいくと・・・
・・・あれ? 確かに立派ではあるけど、ヨーロッパ最古という割には、随分と新しそうで味気ない校舎なんですけど、、、
・・・と思いきや! さらに進むと、待ち受けていたのは、まさに歴史を感じさせる重厚感たっぷりの建築物!!
コインブラ大学では、新しい校舎と古い校舎の2つに分かれていて、こちら側が16~17世紀建てられた「旧大学」と呼ばれる古い校舎なのだとか。
ちなみに「旧大学」といっても、今でも一部は教室と使われている現役の校舎だというから、驚きなのです。
そんなわけで、旅行者が見学する中、学生さんたちも普通にキャンパスライフを送っています。みんな黒いスーツで、黒いマントを手にしてしていますが、これがコインブラ大学の伝統的な制服なのだとか。
卒業を間近に控えた生徒さんたちらしく、記念撮影をしていました。かけ声に合わせて黒いマントをぶわ〜っと広げるのだけど、これも伝統のようで、周りのギャラリーたちは大盛り上がり。
すみません……なんかもうキラキラしてて、おじさんとおばさんは羨望の眼差しで、長いこと凝視し続けてしまいましたよ、、、
・・・いつまでもそんなことしてる場合じゃないと気を取り直して、校舎見学へGO!(ちなみに、旧大学の見学料は一人 €9 ≒¥1,130)
17世紀のアズレージョ(装飾タイル)が壁全体に施された、「サン・ミゲル礼拝堂」。
元は宮廷の広間だった場所で、その後大学として利用されるようになってからは、学位授与などの儀式が行われていたという「帽子の間」。
今なお教室として使われている建物の壁にも、歴史を感じさせるアズレージョが。自分たちが生徒だったら、なにかの拍子に割っちゃいそうでドキドキするなぁ、、、
ちなみに、撮影禁止だったため写真ナシですが、旧大学の一番の見どころは「ジョアニア図書館」。「ポルトガル最高級の文化財」とも呼ばれるこの図書館は、まさに『ハリー・ポッター』の魔法学校の世界でした♪
・・・といったカンジで、まるで修道院や宮殿に来たかと錯覚するような校舎見学を終え、次に私たちが向かったのが・・・
学生食堂! 同じ校舎内にあるとは思えないほど、ここだけは非常にポップに改装されています(笑
学生ではなくとも利用OKということで、がっつりランチを頂きました。あぁ、学食なんて何年ぶりだろう……なんか、胸がきゅんとするなぁ、、、
・・・というわけで、コインブラ大学の見学を終えた私たち。しかし、丘を下る前にどうしても立ち寄っておきたい場所がありました。
それがここ、コインブラ大学のすぐ近くにある「新カテドラル/Sé Nova」。
ここにはなんと、日本初のヨーロッパ留学生で、日本人で初めてローマ法王に謁見した、ベルナルドという方のお墓があるというのです。
なかなかお墓を見つけられず、管理人らしきおじさんに助けを求めると、普段は立ち入り禁止だという部屋に、なぜか特別に通してもらえることに!
そして、「あれをご覧なさい」と彼が指差したその先には、一枚の宗教画が。なんとこれが、ベルナルドがローマ法王に謁見した際の様子を描いたものなのだとか!
……う〜ん、でも、どう見ても日本人らしき人物は描かれていない(苦笑
そして肝心のお墓は、通された部屋ではなく(笑)、祭壇近くにありました。
フランシスコ・ザビエルから最初に洗礼を受けた日本人とされるベルナルド。1551年に鹿児島から約2年かけてポルトガルへと渡った彼は、コインブラ大学で学びながら、この地でキリシタンとしての人生を全うしたそうです。
キリスト教信者でもなんでもないけど、やっぱり、こうして異国の地で日本人の先輩に手を合わせることができると、うれしいものです。
・・・というわけで、丘の麓へと再び戻って来た私たちですが、なぜか街中がやたらと賑わっています。何事だ?…と、その中心と思われる場所へ行ってみると・・・
なんと!コインブラ大学の学生さんたちが、路上ライブをやっている!
しかも、けっこうな数のギャラリー!笑
入学シーズンになると、在学生がこうして新歓コンパを開催するための、資金集めをするのが恒例なのだとか。いやぁ、こんなカンパの募り方、洒落てますね〜。
↓路上ライブの動画がこちら↓
ちなみに、一方の女子学生は、文房具の販売で資金集めをするのが恒例だそうです!
ちなみに、丘の麓ではもうひとつ、コインブラ大学にまつわる出来事がありました。細い路地にふと目をやると、なぜかそこには行列が…?
不思議に思って、何とはなしに私たちも並んでみると・・・
なんと「Ze Manel dos Ossos」という、ものすごく有名なレストランでした!
日本の学生街にも必ず存在する、早い・安い・うまい!…の三拍子揃った食堂。ここはつまり、そのコインブラ大学・バージョンというわけです。
見てのとおり、学生たちが残していったメッセージが壁一面に貼られています。壁に書かれているのはよくあるけど、このパターンは初めて見た(笑
学生に愛されるレストランだけあって、なるほど料理はものすごいボリューム! そして、行列ができるのも納得の美味しさ!
座席数が少ない上に、営業時間もものすごく短いらしく、入店できずに諦めて帰る人もかなり多かったので、ラッキーだったとしか言いようがないっす。
・・・というわけで、ただ単にハコを訪ねるだけでなく、街全体で世界遺産の大学を楽しめた、コインブラの旅。なるほど、大学と街が本当の意味で一体になると、それは立派なツーリズムになるのだなぁ…と、実感したのでありました。
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*世界一周の旅を経て、
お菓子ブランドをスタート!
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コインブラは本当に学生の町で私も10月に訪れ、イニシエーションの様子を見ることが出来ました。図書館は素晴らしいものでした。
イニシエーションの様子、見られたのですね!うらやまし〜〜〜