約7年前、25歳のときに、パティシエの世界に入りました。
それまでアパレル業界に務めていた私。スイーツ作りは休日に楽しむ程度で、知識も技術も独学。
それでも、自宅のキッチンで作った私のスイーツを、家族はどんなモノでも「おいしい、おいしい」と食べてくれました。
…でもある時、ふと興味が湧きました。
『私の作るお菓子に、お代を払ってくれるお客様はいるのかしら?』
そんなことを考え始めたら、居ても立ってもいられなくなって、 チーズケーキ(当時の自信作だったかと)を片手に、都内のカフェにトントン営業を始めることに。
素人がそんな無茶な!…な行動だったけど、2軒のパティスリーに、私の作ったケーキを置かせてもらえることになりました。
会社勤めと両立するのはとっても大変だったけど、楽しくってしかたがない日々。そんな毎日を送っていたら、次第にプロが使う機械や材料にまで興味が湧いてきて、もはやスイーツ作りへの想いは抑えることができず…
…そして、街場のケーキ屋さんに就職。
晴れて、パティシエになることができました。
でもそこからは、怒涛のパティシエ生活の幕開けです。製菓学校を卒業して、ハタチそこそこからこの世界でバリバリ働いている人たちと比べれば、圧倒的に 遅れをとっていた私は、それはもう必死!
現場からとにかくすべてを学ぼうとしました。目の前のレシピの方程式を必死で暗記するかのように。
ケーキ作りを任されたときは、「
肉体的にも精神的にも、当時はあまりにも余裕が無かった私。忙しい毎日の中にも、たくさんのお菓子についての勉強を欠かさなかったつもりでしたが、今思い返せば、それはどこか表面的だったように思います。
ほどなくして、「レストラン デザート」に興味を抱き、 その楽しさと出会うことに。
縁あって私は、都内のホテルでレストラン パティシエを務めることなりました。
目の前にはさらに新しい世界が広がって、料理人の使うたくさんの材料や調味料を知るチャンス到来!
一方で、お皿の上で世界観を表現する難しさを痛感しましたが、その経験から『レストラン デザートを、一から生み出してみたい。』 という、ひとつの想いも芽生えてきました。
すると、それまでは知識を詰め込むことに腐心していた私でしたが、今までとは違った角度から、お菓子やデザートを捉えるように。
一からデザートを考案、そして提案を重ねていくうちに、単なる知識に裏打ちされた“調理科学”としてのレシピだけではなく、使われるさまざまな材料、そこから誕生するお菓子やデザートが元来もっているはずの、“ストーリー”に興味が湧いてきたのです。
スイーツといえば、そのルーツは「フランス菓子にあり!」…というイメージが先行しがちなこの世界。でも実際は、 世界中のさまざまな地域の歴史、文化、風土、食材が絡み合っています。
それらのストーリーを知って楽しむデザートは、きっといつもに増して格別なものだと思うのです 。
ただ作るだけのパティシエではいたくない。
その裏側にある物語も伝えられるようなパティシエになりたい。
そうすることで、もしスイーツが文化交流に役立つとするならば、
それはどんなにステキなことだろう。
そう考えたときに、私の目指すパティシエ像は、「国と国、人と人とをつなぐスイーツ・ストーリーテラー」なのだと、はっきりと定まりました。
今やインターネットや書籍で、世界中の情報は簡単に得られます。それでも、スイーツ・ストーリーテラーになるからには、あくまでも自分自身が、その土地や人々の持つ空気に触れながら、世界中の郷土菓子を学ぶことが必要だと考えています。
そんなわけで、2016年1月からの旅で出会うであろう、スイーツをめぐる世界の物語を、ここでお届けしていきたいと思います。
旅するパティシエ、旅に出ます♪
あや
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*世界一周の旅を経て、
お菓子ブランドをスタート!
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