まずはポトシから、サンタ・クルスへ、19時間移動
【day】27~28日目
【route】ポトシ→スクレ→サンタ・クルス
前回の「旅の日記」に綴ったとおり、標高約4,070m、世界で最も標高の高い都市・ポトシで散々な目にあった私たち。「早く低地に戻りたい!」…という切なる願いを胸に、一路、隣国パラグアイはアスンシオンを目指すのでありました。
さよなら、ポトシ。もし次来る機会があったら、今度は水かけ祭りじゃないときにね…。
※水かけ祭の逃亡劇は、↓前回の日記を参照のこと…
【世界遺産】ポトシ市街の恐怖…水かけ祭&高山病
さてさて、ポトシ→アスンシオンは、バスで移動でするわけですが、結果から先に言ってしまうとその総移動時間はなんと…
・・・58時間!!
本当は途中の街で一泊すればよいのだけど、今後の旅程も鑑みて、無理を承知で一気にパラグアイ入国を目指すことにした私たち。
でも、さすが「南米一の悪路」といわれるルート…ここまで過酷な移動になるとは、正直想像もしていなかったのでした、、、
まずは、ポトシからスクレ(ボリビア)へと移動。
バスのチケットは「エンペラドール/Emperador」社で前日に購入済み(一人 Bs.20 ≒¥300)、バス出発の30分前までにバスターミナルに到着するよう宿を出る、という万全の態勢です。
・・・ところが、早速トラブル発生!
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トラブル Vol.1
宿からバスターミナルに向かうまではタクシーを利用するも、誤った場所で降車させられてしまった私たち…。
それに気付き、改めて正しい場所に向かおうにも、こういう時に限ってタクシーはつかまらないもの。いつもは街を歩いてるだけで、「タクシー乗らんかね〜」とやかましいくらい声を掛けられるのに…。
再度タクシーをつかまえることに成功するも、この時点でバス出発の3分前。時間は無情にも過ぎていき、バスターミナルに着いた頃には、すでに10分オーバー。
「終わった…。まさかの、ポトシにもう一泊だ…。」
あぁ、この空気の薄い中で、水かけ祭りの恐怖に怯えながら、もう一日過ごすのか…。
…と、事切れそうになるのを必死にこらえ、ダメ元でターミナル内に走っていくと(標高4,000m以上なので気絶しそう…)、偶然にも乗車する予定だったバス会社のスタッフに遭遇!
こちらは顔面蒼白だというのに、スタッフはなかなか涼しい顔で、
「たった今出発しちゃったよ〜。ま、ドライバーに電話かけて、バス止めてみるわ。」
いやいや、そんなフレキシブルなこと、出来るんですか?…と疑っていたら、なんと目の前の道路に、大型バスが停車。「あれだよ、早く乗りな。」…と、これまた涼しい顔でスタッフに促され、なんとか無事に乗車!
「た・た・助かった〜〜〜…!」
腹立つことも多いけど、ボリビアのいい加減さに結局救われてしまった私たち。もちろん、スタッフ&ドライバーのやさしさにも感謝。
…というわけで、なんとかAM12:30発のバスに乗車。しかし、まさかこれが「人生で最も過酷な移動」の序章に過ぎないとは、このときはまだ知る由もない二人なのでした…。
約3時間半かけて到着した、スクレのバスターミナル。ここで、PM4:30発のサンタ・クルス(ボリビア)行き、「エクスプレソ サンタ・クルス/Expreso Santa Cruz」社の バス(一人 Bs.100 ≒¥1,500)に乗り換えます。
ボリビアの憲法上の首都であり、南米の独立運動発祥の地でもあるスクレ。1991年には「スクレの歴史都市」として、世界文化遺産に登録された街です。
本当は街歩きしてみたかったけど、残念ながら今後の旅程も鑑みてスルーします。
スクレからサンタ・クルスへは、所要約15時間。長い移動時間の上に悪路だけど、“高原の国”らしい車窓からの風景に救われます。
なかなか順調に進んでいるな〜と思ったら、突如バスが停車。ただ停車してるだけならよいのだけど、同乗している地元の人々まで急にザワザワし始めたので、ドキリ。
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トラブル Vol.2
窓から顔を出してみると、バスやらトラックやらの大渋滞。全く先に進む気配がありません。
すると、不安な表情を浮かべる私たちを見かねて、隣に座っていたボリビア人が、やさしいスペイン語で状況を教えてくれました。…なんと、幹線道路沿いにある村がお祭りをやっていて、道路を封鎖してしまっているとのこと!
「ここでもお祭りかい…!」
いやはや、これで南米滞在中にお祭りに遭遇したのは4回目。さすがにこちらのテンションも、もう上がりません、、、
しかし盛り上がっているのはけっこうだけど、それならばなぜ警察が交通整理をしないのよ…。お祭りが終わるまで待っていたら、一体サンタ・クルスに着くのは何時になるっていうんだ…。
…と、どうやら想いはみな同じらしく、バスやトラックが次々と、村の中の細い道を強引に入っていきます。
大型バスの乗り入れなど当然想定されていない道なので、あちこち壁にぶつかりそうになりながら、小さな小さな村を、じっくり1時間かけて抜けていくのでありました。
そんなとき車内では、大音量で緊張感あふれるパニック映画が上映されています。このあたりの感覚は、苦笑いするしかありません。
スクレから4時間ほど走ったところで、あたりはすっかり暗くなり、ここで食事休憩。しかし、許された時間は15分というスパルタなブレイクタイム。
時間が少ない上に、食事できる場所は一カ所のみ。当然、押し合いへし合いの大混雑。しかもこのハンバーガー、びっくりするくらいヒドい味なのですが、まだまだ先が長い私たちは、とにかく口の中に詰め込みます。
ドライバーは発車時に乗客人数の確認をせず、下手すると置いていかれるリスクがあるため、食事をしながらもバスの横は離れられません。結局、15分休憩のはずが、バスは30分後に出発。
・・・そして、走ること約10時間。翌日のAM7:30に無事、サンタ・クルスに到着!
ちなみに、バスのトランクルームに入れていたバッグたちは、この有り様。
よくもまぁ…
ここまで土埃まみれになったもんです…。
ポトシからここまでは、約19時間の移動。しかし、私たちの移動はまだまだ続きます。パラグアイの首都アスンシオンまで、さらに約24時間かけて移動。
もうヘトヘトですが、気力を振り絞ってアスンシオン行きのバスチケットを「トランス・ロザリオ/Trans Rosario」社で購入(一人 US$75 ≒¥9,000)。
次のバスの出発はPM7:00。
待ち時間は約12時間ということで、とにかく休めるところを探さねば。しかし、よりによってこのバスターミナル、街の中心地から約3㎞も離れていて、ターミナル内はおろか、周辺にもゆっくり休めるところがありません。
そのためしかたなく、タクシーで中心地へと向かう私たち。
とはいえ、ここサンタ・クルスは標高437mの街。どんだけヘトヘトだって、標高4,000m超えのポトシに比べたら、呼吸するのも動くのも、ず〜っと楽なのです。
しかも年間平均気温は24℃と、ボリビアの中にあって温暖で過ごしやす気候に、なんだか久々に癒されてしまう二人なのでありました。
ただ不思議なのが、ここは人口およそ80万人、ラ・パスに次ぐボリビア第二の都市であるはずが、街の中心部である「9月24日広場/Plaza 24 de Septiembre」周辺では、ほとんど人を見かけません。それはもう、ゴーストタウンの様相。
???…と思いつつも、それはさておき、私たちは疲労困憊の身体にむちを打っても、行かねばならないところがあります。それは、「マルチ・マーケット おきなわ/Multi Market Okinawa」。そう、沖縄の市場がここ、サンタ・クルスにあるというのです。
第二次世界大戦前後、多くの日本人が南米に移住しましたが、サンタ・クルスは特に沖縄県出身の方が多かったことから、近郊には「コロニア・オキナワ/Colonia Okinawa」、つまり沖縄の人々のための移住地が築かれているほど。
そういった背景もあって、中心街にある「マルチ・マーケット おきなわ」では沖縄そばが食べられるらしい…そんな噂を聞きつけた私たちは、次の長時間移動に向けて体力をつけるには、行くしかない!と、鼻息を荒くしてボリビアの沖縄を目指すのでありました。
そして「9月24日広場」から歩くこと15分…
…到着!!
はい! 閉まってます!
…う〜ん、中心部がゴーストタウンのようだったので正直嫌な予感がしていたのですが、沖縄そばにかける想いが強すぎて、その事実に目を背けていました。
ご覧の通り、もしお店が開いていたら、間違いなく沖縄そばを味わえたようです。こんな看板をボリビアで見られるなんて感動的だけど、今の状況では、違う意味で涙が出そう、、、
…しかし、まだ諦めたわけではありません。この近くには、ラーメンが自慢の日本食レストラン「けんの店/Restaurant Ken」があるのです。
気を取り直して、出発!!
おぉ、ようやく賑やかな通りに出ることができた! あちこちで露店が出ていて、通り全体が市場のようになっています。
これだけ賑やかなエリアなら、きっと「けんの店」も開いているに違いない! いや、開いていてくれなきゃ困る!
そして歩くこと10分…
…到着!!
はい! 閉まってます!
放心状態で固まってしまった妻。
もう大人しくカフェにでも入って、仮眠しよう…。ようやく気持ちを切り替えた私たちは、「9月24日広場」に戻ることに。
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トラブル Vol.3
すると・・・
どこかで見たような光景が・・・まさか、その水鉄砲は…!?
まさか、その標的を探す鋭い目つきは…!?
・・・そう、ポトシの「水かけ祭の恐怖」 、再び!…だったのです!!
その恐怖は、↓前回記事を参照のこと…
【世界遺産】ポトシ市街の恐怖…水かけ祭&高山病
不思議なことにサンタ・クルスでは、ポトシのようにダンサー&音楽隊の行列などは見かけなかったけど、気付けば街中で、大人から子供までひたすら水をかけ合っているではないですか!
しかもタチが悪いのは、無色透明の水ならまだしも、赤や青の着色料を入れた水を用意している輩も相当数いるということ。
あんなのかけられた日には、いよいよ次の24時間移動なんて、精神的にも肉体的にも耐えられるはずがありません。なんてったって、ここではシャワーを浴びる術などないのだから…。
しかしなるほど、中心部がゴーストタウン状態になっていたのも、主要なお店がほとんど閉まっていたのも、合点がいったのであります。あんな着色水で店まで巻き添え喰らったらたまったもんじゃないと、閉めてしまうのでしょうね。
そういえば私たちが最初に通ってきた「9月24日広場」も、教会を中心に周囲は簡易バリケードで囲まれていました。どうやらバリケード内に入れるのは、関係者や私たちのような旅行者だけのようなのです。
あぁ、まさかここまで来て、まさかこんな時まで、「水かけ祭」の脅威にさらされなければならないなんて…。
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トラブル Vol.4
結局、バリケード内にある「バーガーキング」に逃げ込んだ私たちでしたが、今度はそこで大量の蚊の襲撃に遭い、散々な目に。
あぁ、もはやこの街で心が休まるところなどないのだな…と悟った私たちは、諸々諦めてバスターミナルへと戻るのでありました…。果たしてこんな状態で、24時間移動に臨めるでしょうか、、、
つづく
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